るばぐれ

この宇宙のどこかにある箱庭世界。

天井のないほどとんでもない高さから床のないほどとてつもない下に落ちてゆく水の壁が箱庭世界の周りをまあるく囲み、中と外とを分けています。

ここに集まるのは少し、またはとっても変わったひとたち。

ひとは誰でも生まれた場所が最善の場所とは限りません。

まわりに馴染めないひと、なんらかの事情で同じ場所に居続けられなくなってしまうひと、そんなひとたちの最後の居場所がこの箱庭です。

その噂を聞いて次元の狭間を渡りわざわざ探しにくるひともいれば、気づいたらここに流れ着いていた、なんてひともいます。

 

箱庭そのものは独自の物語をもっていません。

ここにやってきたひとがそれぞれ持っている経歴が、彼らそれぞれの物語です。

箱庭の役割は、ただそこに在ることで、暮らすひとたちの足場となり続けることです。

居てはならないひとたちが存在を許され、そんな彼らが許し合うことで成立する黒でも白でもない世界。

いつからか箱庭世界はシルバーグレイと名付けられました。