――約束して、何も嫌いにならないって
-天気精たち-
箱庭世界の天候を管理運営している妖精たちです。
天気は人々の生活に直接的かつ大きな影響を与えるので、大切な仕事です。
しかし妖精ですから精神が幼く、血の気盛んな彼らはいつも覇権を得ようと勢力争いをしています。
地上に暮らす人々は、そんな彼らの気まぐれによく振り回されているのです。
妖精:晴天の精/デリ
太陽のように明るく溌剌とした男の子。
地上に陽の光を降り注がせることが生きがいです。
喧嘩も好きですが、晴れた空をただ飛び回って遊ぶのも好きです。
箱庭世界の雨は危険なので、彼が担当する晴天は人間たちにとって安寧の象徴のような存在です。
無邪気ながら、人間たちに求められていることを自覚しているようなあざとい面も。
妖精:曇天の精/ウトカ
厚い雲のようにのんびりした男の子。
純粋ゆえに狂暴スイッチが入ると手が付けられなくなる困ったちゃんですが、根は優しい子です。
人間が好きで、空を曇らせると人間がたくさん上を見上げてくれるのが好きです。
ただ、彼の言う「人間が好き」とは、たとえば幼児が道端の蟻をかわいがるようなものかもしれません。
妖精:酸性雨ちゃん
酸性雨のように危険な女の子。
雨の妖精は彼女だけですから、箱庭世界に降る雨はいつも強い酸性の雨です。
人々は雨が降ると我先に屋根の下へ逃げ込み、彼女の気が済むまで外出することができません。
とても口が悪く、自分の降らせる雨から逃げまどう人間たちを眺めては小馬鹿にして楽しんでいます。
危険な代わりに、普通の雨と比べると認知が劣るために天気精の中で最も不完全・不安定な存在です。
そのせいかまるで幽霊のように足がありません。
いつか酸性雨の存在をより広く知らしめて完全な存在になりたいと企んでいるかもしれません。
妖精:降雪の精/ヒヨキ
雪原のように冷静な女の子。
ふだんは山の上に住んでいて、人間たちの住む街へ降りてくることはほとんどありません。
ほかの天気精たちが繰り広げている勢力争いには興味がなく、山の頂上付近を雪化粧で美しく飾ることを日々の仕事としています。
箱庭世界には季節の移り変わりがありませんから、雪といえば冬ではなく山のもの、というイメージです。
ほかの妖精と戦ったことはありませんが、本気を出せば誰よりも強いのではという噂もあります。
-さまざまな種族のひとたち-
箱庭世界に入れるのは魔女とその眷属だけです。
たくさんの魔女と魔女でないひとたちが普通の暮らしをしています。
魔物:ガル
どこかの壁の落書きが自我を持った存在。
ちょっと生意気でませた性格の男の子。
壁の落書きだけあって治安の悪いところ出身です。描いた主はチーム天動説のてにーちゃんなのですが、本人は自分が誰に描かれたのか知らないため孤児という扱いです。(てにーちゃんも描いたことを覚えていません。)
家もなく行くところがないので、たいてい山のお屋敷にいて暇を持て余しています。
完全に実体化できるわけではなく、常に体のどこかの部分は絵のままで平面にいないと生きられません。
無機物が魂を宿した存在が問題を起こすことが箱庭世界ではしばしばありますが、彼はだいぶ大人しい部類のようです。
液体の水が苦手。
神様:形而上ちゃん/是空(ぜくう)
あらゆる精神的存在の神様。
声が低いのを気にしていて人と話すのが苦手な女の子。
神様といっても形だけで、人から感謝されることに慣れていません。
本当は目に見えない存在なのですが、不便なので人間の姿をとっています。
是色とものすごく仲が悪いようです。
神様:形而下ちゃん/是色(ぜしき)
あらゆる物質的存在の神様。
おしゃれが好きで非常に自信家な女の子。
是空と同様象徴的な存在でしかないので仕事はありません。
本当はもっと巨大な身体を持っているのですが、不便なので人間サイズで過ごしています。
嫌いなものは誇り、尊厳、懸命。
是空とものすごく仲が悪いようです。
亡霊:日向寝子(ひゅうが・ねこ)
猫が好きな女の子。本名は日向慈美(いつみ)。
生前は身体が弱く、「生まれ変わったら猫になりたい」と言い遺し病気で亡くなりましたが天使たちから魂が善と判断されて人間に生まれ変わらせられそうになったので天国から脱走してきました。
猫に生まれ変わるために悪いことをして魂を降格させようとあの世からの追手をかいくぐりながら地上を旅していました。
自分を監視してくるリボネのことは逃避行に付き合ってくれる相手程度に思っていましたが、だんだんと共に過ごすのが楽しくなってきたようです。
旅の末に辿り着いた箱庭世界にはあの世からの追手も届きません。
死神:リボネ
地獄から派遣された寝子のお目付け役の女の子。
死神といえば鎌とかですが、彼女の武器は素手です。
非常に真面目な性格で、決められたルールをとにかく守ろうとするタイプ。
慈美が亡くなるときに魂を連れて行った本人でもあり、脱走した寝子を天国に連れ戻すことが任務です。
寝子についていく形で地上を旅していたところ、気づけば箱庭世界に辿り着いていました。
寝子の自由奔放っぷりにいつも振り回されていますが、ルールに縛られない寝子の姿勢に憧れに似た感情を抱いています。
魔女:ざくろ
自傷行為が大好きな男の子。
どこかの世界に存在した不老長寿の種族の子らしいですが、詳しい素性はわかりません。
死んでしまったら自傷行為ができなくなるため、死なない程度に自分の身体を痛めつけることに魂を注いでいます。
住む場所がないのか箱庭世界のあっちこっちを気ままに歩いて過ごしています。人気のない路地裏などを好むようです。
あまり他人との繋がりをもたず、自傷が好きなこと以外はどんな人柄なのか誰も知りませんが、関わらない方がいいことは確かです。
魔女:希少貴金少女/リィサ
ミノレイヒの町のはずれで貴金属ショップを営む少女。リィサは愛称で、本名はリータス。
白髪赤眼とロリータファッションという可憐な見た目からは想像し難い暴力的な性格。
アクセサリー作りの腕は見上げるものがありますが、カモと見た客には容赦なくぼったくりを働く悪徳ぶりを発揮します。
気に入らないことがあると暴力と暴言に訴えます。そんなに力は強くないし言葉が怖くとも声に覇気がないのであんまり怖がらなくても大丈夫です。
もとは黒髪黒眼の女の子ですが、白髪赤眼に憧れて髪を染めカラーコンタクトを入れています。
見せかけにすぎないその容姿を永遠のものとするために、時間の進まない箱庭世界へとやってきました。
魔女:ちぇでぃー&リェンイ
科学は夢。機械はロマン。そんな国からやってきたお嬢様です。
お嬢様らしい高飛車な性格で、他人を見下したりわがままな態度をとります。
素足で外を出歩くのは肉体搭載型浮遊構造をもつ貴族の特権です。靴を履いて歩くのは庶民のすること、というのが彼女のいた国の常識です。
リェンイはちぇでぃーの父が造った執事ロボットです。ちぇでぃーの命令は何でも聞くようにプログラムされています。
ちぇでぃーという名や彼女に対するリェンイの敬称「お嬢ちゃま」は、幼い頃のちぇでぃーの舌ったらずな言葉から来ています。
次元超越金属を主な材質とするリェンイは、普段は頭部の圧縮空間内に身体を収納しており、必要なときに身体を生やします。
黒い羽は特に機能とは関係なく、単にちぇでぃーの趣味でついているようです。
箱庭世界にやってきたのもリェンイの次元超越機能によるもののようですが、目的は不明です。
魔女:夢見る乙女チックリボン/樫野あかり
自分はあらゆるものからモテていると信じて疑わない魔法使いの女の子。
自己中心的な性格の者が多い魔女のうちでも輪をかけて自己中心的で、誰に対しても横柄な態度を取ります。
かたやこのモテ期が永遠に続くわけではないことを悟っており、今の状態を保持するために時間の進まない箱庭世界へと足を踏み入れました。
モテているとはいえ特定の恋人を作ったりはせず、軽やかに日々を過ごしています。
ただ、まーにゃんにだけはずっと傍にいることを許しています。
理由は何でも言うことを聞いてくれて面白いから。
自分のことを「乙女」と呼んだり、わざと間違った言葉の使い方をするなど、独特の口調で話します。
眷属:まーにゃん
あかりちゃんと共に箱庭世界にやってきたごく普通の男の子。
あかりちゃんのことが大好きで、いつも彼女にくっついています。
魔法は使えませんが、あかりちゃんから毎日のように出される無茶ぶりを解決するためなら無限の力を発揮します。
彼女の無茶ぶりはいつもただの遊びで、叶えても特に何もないのですが、あかりちゃんが喜んでくれるのがまーにゃんにとっての幸福であり人生なのでしょう。
魔女:ララタ
寂れた教会に住むなんちゃってシスター。
シスターの恰好をしていますが立派な魔女であり、しかも禁呪なんかも普通に使う厄介な魔女です。
周囲からの評は敵に回せば絶望的だが友達としては悪くないとのこと、ただ中々友達にしにくい面倒な性格をしているため結局人から距離をおかれがちです。
フルネームはドキ=ララタ。「ドキ」の方がファーストネームなのですが、より可愛い響きの方を名乗っています。
リィサとは旧友関係だとか。
存在:ゆるむ姫
存在に意味のない女の子。
見かけよりもやや幼く、純粋で好奇心旺盛な少女らしい性格の持ち主。
どこで生まれたのか誰に名付けられたのか本人を含め誰も知りません。
侍女たちが誰かしらそばにいないと存在を保つことができません。
侍女:個性の発生/えぐる
侍女:病気の発症/とじる
侍女:能力の発現/むくる
ゆるむ姫に仕える侍女たち。
帽子をかぶっているのがえぐる、
マントを羽織っているのがとじる、
手袋をしているのがむくる。
それぞれ別の視点から姫の存在を保障する役割を負っています。
たとえば赤い花のたくさん咲く花畑で一輪だけ青い花。
青色はその花と他との差異でしかないただの“個性”か、
その花に差し障る異質な“病気”か、
その花にのみ許された特異な“能力”か、
そんな話で盛り上がれる少女たちです。
幽霊:緑雨藤乃
ごく普通の幽霊の女の子。
実は星屑の魔女たちが元々住んでいた世界に彼女もいました。
箱庭世界ができたときに共に越してきたひとで、そういう意味では古参です。
人間:アレン
ミノレイヒの小さな村に住む男の子。
とても好奇心旺盛で、興味を持ったものは気が済むまで調べたがります。
その際、同じ村に住む幼馴染のゼムリカをよく付き合わせており、迷惑そうにされています。
この世界の秘密について気になっている節があるようで、おもにチーム天動説からひそかに警戒されています。
巫女:ゼムリカ
アレンと同じ村に住む女の子。
生まれたときから不思議な力をもっていると言われ、村の人たちから心の頼みにされています。
そのことを本人はあまりよく思っていないようです。
幼馴染のアレンに振り回されることにいつも文句を言っていますが、巫女としての面倒な仕事を片付けているときよりは楽しそうにしています。
-地上以外で暮らすひとたち-
世界には対称物が必要です。太陽と月とか。長調と短調とか。
いちおうここにも天国とか地獄はあるのです。
やることはありません。人が死にませんから。
ですが、折角いてくれる彼らにも仕事があったほうがいいので、時々地上では人が死んだことにされます。
天使:名城(なき)
悪魔:砂田(さだ)
もとは同じ魂だったのを半分に分けるという通例的な天使と悪魔の作り方によって生まれました。
名城は男の子で砂田は女の子です。
彼らのようなどこにでもいる天使と悪魔が通例たったひとつ守らなければならない掟が、自分の魂の片割れと出会ってはいけないということなのですが、案の定というか破ってしまいました。
今はお飾りとして箱庭世界の天国と地獄にそれぞれ在しています。が、お飾りなのでしょっちゅう地上に顔を出して気ままに過ごしています。
ごくたまに天使や悪魔らしい仕事をする素振りも見せてはくれるのですが、本当にごくたまになので、チーム天動説や星屑の魔女たちから危うい視線を向けられることも。
悪魔:ルエンダ
箱庭世界の地獄に住む伝統的な悪魔の女の子。
砂田のような悪魔とは別の存在で、対となる天使はいません。
鬼の見習いの子供たちをまとめて面倒を見る仕事をしています。
銀児とは古い友人。
死神:朱見銀児(あかみ ぎんこ)
地獄の灯明守の家出身の女の子。
特に人の多い市街で『Lighten'House赤屋』という照明器具店を経営しています。店頭での販売だけでなく、自ら明かりを担いで営業に回るときもあります。日光の届かない地獄では彼女の売る明かりがたくさんのひとに愛用されています。
ルエンダとは古い友人で、星屑の魔女たちとも長い付き合いがあります。
箱庭世界の外からやって来るひとが通る『闇の廊下』に設置されている明かりも彼女の商品です。
鬼:明日真(あすざね)
地獄に住む鬼の女の子。
ルエンダや銀児のように世界の外から来たひとではなく、箱庭世界ができたときに生まれた存在です。
まだ若く、自分のことも世界のことも余りよくわかっていません。
もし外で生まれていたら魔女になっていたかもしれないといわれています。
ルエンダが世話をしている鬼の子供たちと時々遊んでいる姿が目撃されます。