――誰だって、自分にしかわからないものを持っているさ
-箱庭世界シルバーグレイ-
この宇宙のどこかにある箱庭世界。
天井のないほどとんでもない高さから床のないほどとてつもない下に落ちてゆく水の壁が箱庭世界の周りをまあるく囲み、中と外とを分けています。
ここに集まるのは少し、またはとっても変わったひとたち。
ひとは誰でも生まれた場所が最善の場所とは限りません。
まわりに馴染めないひと、なんらかの事情で同じ場所に居続けられなくなってしまうひと、そんなひとたちの最後の居場所がこの箱庭です。
その噂を聞いて次元の狭間を渡りわざわざ探しにくるひともいれば、気づいたらここに流れ着いていた、なんてひともいます。
箱庭そのものは独自の物語をもっていません。
ここにやってきたひとがそれぞれ持っている経歴が、彼らそれぞれの物語です。
箱庭の役割は、ただそこに在ることで、暮らすひとたちの足場となり続けることです。
居てはならないひとたちが存在を許され、そんな彼らが許し合うことで成立する黒でも白でもない世界。
いつからか箱庭世界はシルバーグレイと名付けられました。
-天動説の採用-
シルバーグレイは天動説を採用しています。
つまり、大地は動かず、海のはじっこは奈落へ繋がっています。
もちろん、天体はこの大地を中心に廻っています。
。。。(編集中)。。。
-魔女と廊下-
シルバーグレイにたどり着く方法には、表と裏があります。
表は、魔女として闇の廊下を通って山の上の屋敷の呼び鈴を鳴らすこと。
最も古くからいる色とりどりの星屑の魔女たちが新入りを迎え入れてくれるでしょう。
魔女でなければ廊下を通れませんから、セキュリティは万全です。それと、魔女本人の眷属までならいくらでも同伴OK。家族でも恋人でもいいですよ。ただし、恋人の場合、幼稚な冷やかしがあることを覚悟してください。かわいいですね。
裏は、世界の周囲に降る雨の壁を越えてくること。
呼び鈴を鳴らす必要はありません。見つけ次第、有能で心優しいチーム天動説のみなさんが駆けつけて、あなたの存在をなかったことにします。
この雨はとても強いので、傘がなければ越えられません。それもよほど果敢で強靭で勇気に溢れた傘でなくては。
-そのほかの世界-
シルバーグレイは住むために作られた世界ですから、一般的な世界と比べて移住してきたひとの割合が大きいです。
移住してきた彼らの元居た世界のいくつかは詳細がわかっています。
-時計のない世界-
チーム天動説の代表さん、鯖目、空冶の生まれ育った世界です。
名前のとおり時計がありません。つまり、時の流れという絶対的支配者がいません。
ですので、人々の間にはなんとなく上と下ができていて、たまにそれが大きくなって人を支配する集団になったりしていました。
全てを委ねられる存在がいないものですから、人間のなかで上と下の関係を人為的に構成し、維持することで世界のかたちを守らねばなりませんでした。
人を支配する側に回ることに成功していた集団で、代表的なものが殺し屋組織です。
彼らは「世界の人間の数を調整する」という名目のもと、無作為にあるいは私欲で選んだ人間を殺したり殺させたりすることで、人間の中で上位に立とうとしていました。
組織内部でも上位争いは激しく、より強く生き残るために裏切りや不正の横行する社会でした。
ではどうやって人々が時の流れを認知しているのかというと、空の動きです。
時計のない世界の空に住む"空生まれ"の人間たちは、地上の人間にあまり知られていないのですが、毎日空をひっぱる仕事をしています。彼らは時間の流れを担っている、集団にして上位存在なのです。
余談ですが、時計のない世界には古い伝承やおとぎ話に登場するかたちで、ナイフを持つ神のような存在が知られています。これは時計のない世界にもかつて神のような絶対的唯一の上位存在がいたことを示唆しているとも考えることができます。
-記憶のない世界-
チーム天動説のてにーちゃんが居たと思われる世界です。
。。。(編集中)。。。
――生きることに、意味なんてないよ
-だいたい人間-
チーム天動説のメンバーたちは、魔女ではありません。
もとはただの人間です。でも、世界の理に干渉するほどの力を有しています。
ただし、多くの世界を行き来してきたことでひとを超越した存在になっており、概念になってしまっています。
そのため、彼らには肉体がありません。
肉体がないといっても、ほかの人としゃべったり、物を食べたりみたいなことはします。
(厳密にいうと実際に食べたりしているのではなく、「声」や「食べる」といった概念に自らがなることでその行動を実現しています。)
シルバーグレイの空の上には、チーム天動説の拠点があります。
彼らは毎日仕事が終わると、空に浮かんだお家に帰ってくるのです。
-化身(サンプル)-
とはいえ、肉体が無い状態で行動するのはあまり好ましくありません。
概念だけで世界とやりとりすると、それは認識できない人からしたら誰もいないのにどこかから声が聞こえたり、勝手にハンバーガーが消えてしまうのと同じようなことです。
概念だけで行動するのは、世界に不整合が生じやすく、かえって後処理が面倒になりがちなのです。
そこでチーム天動説は、地上で仕事をする際には仮の身体として『化身(サンプル)』を使用します。
『化身』を介することで、ふつうの人と同じように、概念ではなく実際に世界と触れ合うことができます。
『化身』は蜜貴が製作しています。見た目は2~2.5頭身程度のぬいぐるみの形をしており、
村人、政治家、アイドル、店員など、さまざまな人間を模しています。
これらがそれぞれに何らかのテーマを帯びているのは、
使用者(チーム天動説)が肉体へのイメージをしやすくするためと、世界とのつながりを強固にするためです。
使用者は『化身』を使用すると、その『化身』のすがたを借りた、
肉体をもつひととして顕現します。
その様子を外から見ると、使用者と『化身』が合体して姿が変わったように見えるかもしれません。
使用後は、もとの概念と『化身』に戻ります。
なお、拠点はチーム天動説の空間なので、拠点にいる間は、
概念のみであっても肉体があるときとほとんど同じように過ごせます。