――あるところに、お絵描きの好きな魔女がおりました。
この宇宙のどこかにある箱庭世界。
ここに集まるのは少し変わったひとたち。
ひとは誰でも生まれた場所が最善の場所とは限りません。
まわりに馴染めない、なんらかの事情で同じ場所に居続けられなくなった。
そんなひとたちの最後の居場所がこの箱庭です。
噂を聞いてわざわざ探しにくるひともいれば、
気づいたらここに流れ着いていた、なんてひともいます。
箱庭そのものは独自の物語をもっていません。
ここにやってきたひとがそれぞれ持っている経歴が、彼らそれぞれの物語です。
箱庭の役割は、ただ暮らすひとたちの足場となり続けることです。
居てはならないひとたちが許し合うことで成立する、黒でも白でもない世界。
いつからか箱庭世界はシルバーグレイと名付けられました。